この記事を読んで欲しい人!
- 長野の雄大な自然を体感しながらゆっくりと過ごしたい人!
- 本格的な信州の手打ちそばを食べたい人!
- 多少値が張っても、新しいそばの体験を経験してみたい人!
見渡す限りの雄大な景色の中に佇む、職人が営む食事処
まずはこちらの写真をご覧ください。視界に広がる雄大な山々に、どこまでも続く青い空、そしてその自然を映す鏡の田んぼ。
こんなにも贅沢なロケーションの中に、ポツンと佇むのがこちらのお店。今回ご紹介するのは、手打ちそばと信州の手仕事が楽しめる<職人館>です。
こちらのお店、地場産食材と職人の技を融合させた農家レストランの草分け的な存在で、県内外でも有名な北沢正和(キタザワ マサカズ)さんが営むお店。料理好きの界隈では”蕎麦打ちのキタ”と呼ばれ、その異例の経歴を含め、崇められている存在です(←実際に話しましたがとても気さくなおじさまでした~)。
20年余り務めた公務員を辞め八ヶ岳北麓で古民家を再生し、1992年に<職人館>をオープンさせてから20年以上、地元の長野県だけでなく他県での地域活性化事業にも尽力しているという凄腕職人なのです。
信州では超有名シェフである、ボキューズ・ドール国際料理コンクール(フレンチのオリンピックのようなもの)にて世界第3位となった浜田統之シェフも師と仰ぐような存在だというから驚き!
メインはお蕎麦を扱っているのですが、お蕎麦屋さんというわけではなく、地元の食材や蕎麦を使ったコースが楽しめる、正に職人が営むお食事処です。
実は私も軽井沢に来る前から存じ上げていたのですが、なかなか来る機会がなく3年も経ってしまいました…
しかし今回初めて仕事の勉強も踏まえて、何度かこのブログでも登場している職場の数少ない友人Rと共に行って参りました!(←彼女とじゃないんかい!)
<職人館>の店舗概要
営業時間:11時~15時(予約があれば夜の営業もあります)
定休日:水曜・木曜(北沢さん曰く1月頃は九州の仕事を手伝っているので、その時期は休業しているとのこと)
電話番号:0267-52-2010
住所:〒384-2205 長野県佐久市春日3250-3(佐久市から蓼科方面に向かって国道142号を進んだ先)
駐車場:店舗前に6台ほどの駐車スペースあり。店舗の奥も追加のスペースもあるとの事。
<職人館>の店舗外観
古民家を再生しただけあり、看板さえなければ古き懐かしい平屋の姿そのままですね。入口に続く飛び石が期待感を膨らませてくれます。
入口には一枚板の木目が美しい看板に<職人館>の文字があります。
更に店内へと続く入口は、古民家をそのまま使っているからこそ、茶室の入口の様な背の低い”くぐり戸”になっておりました!
まるで別世界への入り口や隠れ家に入り込むみたいで、こういった小さな体験からもこれからの食事がわくわくしてきますね。
それでは早速店内に入ってみましょう~
<職人館>の店舗内装




入口をくぐると、どこを見渡しても時代を感じさせながらも、今もなお現役である事が窺える内装の数々。まるでこの古民家が建てられた時代にタイムスリップしたような気分になりますね。
今回は入り口側のテーブル席に案内していただきましたが、ここの席がもうまさしくおばあちゃん家の縁側のような雰囲気で外から入り込む風が心地よくて何時間でも座っていられる雰囲気!
雨が上がったばかりの独特なあの匂いと草木の混ざったような風の香りは、全日本人に幼少期の懐かしさを感じさせるものではないでしょうか。

また、田んぼ側の席だと窓からこのような絶景を眺めながら食事をすることが出来るというから、どこの席になっても当たりしかありませんね!
<職人館>のメニュー
職人館のメニューはアラカルトとコースから選ぶことが出来ます。
ランチコースは
- 名物の”村の豆とうふ”+”季節の一品”+”手打ちそば”の<そばと何かほしい膳 ¥2800>
- それが”季節の二品”になりプラスして”茶菓子と抹茶”が付く<館主の野遊び膳 ¥3800>
- 更にそれが”季節の三品”になり、そばも2種になるのが<山里のにきけ膳 ¥4800>
の3種類から選ぶことが出来ます。また季節の一品はサラダやリゾット等から選ぶことになるので更に迷ってしまいますね~
迷っている私たちを見て、スタッフの方が「2人なら<そばと何かほしい膳>にして、それぞれサラダとリゾットにする事でお二人にどちらもご用意しますよ」と提案して下さったので、両方食べれるのであればお得!という事で今回は<そばと何かほしい膳>にしました!
これは2人でシェアすることをデートで良くしているカップルには嬉しいですね!(←残念ながら今回は友人同士ですが…)
更に「そばの種類もそれぞれでお好きなものをどうぞ」と言われ、また迷ってしまうが嬉しいご提案!お蕎麦は全て地場産のそば粉100%を使用した手打ちそばで、そば粉の挽き方毎に3種類のそばから選ぶことが出来ました。
- 佐久野そば…一番ベーシックなそばで、下2つのいいとこ取りなそば
- 御前そば…そばの実の芯のみで打った白いそばで、癖が全くないそば
- 挽きぐるみそば…そばの実の全粒粉で打った黒いそばで、噛むほどにそば本来の香りを感じるそば
また夜には事前予約をする事で<山里の季節膳>という更に店主が創意工夫を凝らしたコースを楽しめるというので、是非こちらも試してみたいですね!<山里の季節膳>は一番下の<炭にきけ膳 ¥5800>でも5~6品もあるというからきっと大満足のことでしょう~
<職人館>の注文品
着席するとまずほうじ茶と<青豆の煮物>、塩2種が運ばれてきました。
塩はどちらも館主の北沢さん監修で、新潟県産の海水と海藻「銀葉藻(ギンバソウ)」をゆっくりと釜炊きした<銀葉藻(ぎんばそう)の藻塩>とフィリピンから直輸入したこだわりの<天日塩>。名物の”豆腐”や”そば”に合わせて使う様です!一品目は<職人館>に訪れたら必ず食べて欲しいという、長野県産の大豆を100%使用した名物の<村の豆とうふ>。木綿豆腐のような固めの豆腐で、ほどける様な食感というよりはしっかりと口の中で咀嚼することで大豆の旨味や甘味を口の中ガッツリと感じるお豆腐でした。見た目は冷奴ですが、これはもう豆腐だけで日本料理の手仕事をしっかりと感じられます。
更に生醤油に味醂と出汁で甘めの味付けをした”特製醤油”の心地の良い甘味と塩味と旬の”山椒の葉(木の芽)”の爽やかさを足すあしらいが、豆腐の味を損なわずにむしろ数倍に引き立てる名脇役でした!
豆腐に2種の塩を合わせると、銀葉藻の藻塩は”大豆の旨味”に”海藻の旨味”の相乗効果が加わって脳みそにガツンと感じる圧倒的な旨味を、天日塩は大豆の甘味を促進させる味わいでどちらも豆腐を全く違う方向に進化させてくれます(←塩味の強くない特製醤油のおかげで塩を足しても全然塩辛くならない~)。
二品目は、<山里の彩りドレッシングのそばサラダ>です。地元の新鮮なお野菜をシェアした上でこれだけの量を食べれるのは嬉しいですね!しかも中には地元特産のルバーブが刻んで入っており、ルバーブに当たった時に感じる酸味が更に食欲を増進させてくれました。
三品目は<そばの実と無農薬米・雑穀のリゾット風>です。刻んだラデッシュが入ったクリーミーなリゾットは見た目は洋風なはずなのに、確かに感じるそばの実や雑穀の味わいが間違いなく和食として完成させられている一品。
更に上に振りかかった黒い粉は”黒えのき茸の粉末”らしく、一緒に食べると確かに芳醇な山の香りを感じることが出来ました!キノコの粉末だなんてすごい体験!
そして四品目にしてようやく真打登場の旬の蕗の葉に乗った”手打ちそば”。今回は私が<挽きぐるみの黒そば>で連れの友人がベーシックな<佐久野そば>を注文しました。
”挽きぐるみの黒そば”は、全粒粉故に少しそば自体は柔らかめだったのですが嚙めば噛むほどにそばの実の風味をそのまま感じることが出来る一品。あのそば独特な土っぽい香りが好きであれば間違いなく挽きぐるみのそばをオススメします!
一方”佐久野そば”はそばのコシをしっかりと楽しめた上で、こちらの方が甘味が強い印象でした。初めて<職人館>に来たのであれば、まずはこちらの佐久野そばを注文しておけば間違いないと思います!
どちらも特製のそばつゆとの相性も良いのですが、2種の塩と合わせることでまた違った味わいを楽しむことが出来ました。塩でそばを食べるなんてなんだかそば通みたいですね(笑)
(←蕎麦湯の器もかわいい…!)
コースはそばで最後だったのですが、食後に寛いでいると、ちょうど来ていた常連さんが鹿児島出身という事でデザートで使っている<奄美大島の黒糖>を私たちにもおそそわけして下さいました…!
こういう温かさもこのお店に思わず通っちゃう理由の一つかもしれませんね~
長野の恵みと極められた手仕事に浸る”食の最前線”
今回ご紹介した<職人館>ですが、実は訪ねるまでは”田舎の洗練された古き良き蕎麦屋”というイメージだったのですが、全く違いました…
豊かな長野の地場産品にこだわりながら、今も尚、磨き続けられる手仕事に浸ることのできる<職人館>。
そこは田舎のいち蕎麦屋という枠には収まらず、紛れもなく長野県が世界に誇る”食の最前線”でした。職人・北沢正和さんの手仕事はそれ程までに磨かれており、まさに”洗練された古き良き郷土料理”の神髄を感じさせてくださいました。
これは多少値が張っても夜のコース料理も気になってしまいますね…!
今度こそはお互いの本命を連れてこようと、二人で誓い合ったそんな体験でした。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました~